フジTV中居氏事案にみる 経営判断

1)経営判断の前提となる事実認識の過程(情報収集とその分析・検討)

2023 年 8 月 21 日 E 氏及び G氏から編成制作局を担当する専務取締役である大多氏と港社長に報告

2024 年 10 月 28 日において、本事案への対応責任者は不明であった。港社長は、明確に対応チームの組成を命じたことはなかった

週刊文春 スポーツニッポン新聞社 女性セブン より問い合わせ 質問状 直撃取材 

 12 月 16 日 取材を受けて「報道対策メンバー」立ち上げ 

12 月 19 日 女性セブン 26 日 週刊文春から記事が掲載

 12 月  24 日 報道対策メンバーが集まり 中居氏 B氏 他 ヒアリングを行うことを決定

12 月 27 日B氏 中居氏ヒアリング

2)事実認定に基づく意思決定の推論過程及び内容の著しい不合理さの存否

港社長及び大多専務は、性暴力と報告を受けたが 業務時間外での密室での 2 人の間の行為であることから、「プライベートにおける男女トラブル」の事案と認識した。ただし 中居氏 女性A 他関係者へのヒアリング調査等は 行わず マスコミ放送後に 始めた 

更に B 氏が中居氏の相談を受け、 そのために行動する状況を認識することは可能であったが、何らの対応もとらずに容認した。金100万円の運搬・フジTV番組出演弁護士の紹介等を行なった 行為を通じて、CX は中居氏サイドに立つこととなった。

このことは、性暴力・重大な人権侵害の事案であると捉えず、中居氏との取引を優先した「大物タレントである中居氏を守り、社員は守られない」という女性 A の疎外感、絶望感が形成されたことは当然のことである。

2024年12 月 27日 HP リリース CX の役員は、一人も現場で議論に参加しておらず、かつ、港社長に至ってはゴルフの予定を優先し、その後に会食、宴席の場にまで移動していた。さらに、アルコールが入っていると思われる状態で、意見のやり取りを継続していた

このような役員の対応状況について、報道対策メンバーは、一様に大きく失望した旨を述べている。とりわけ、港社長については、怒りを隠さない者が複数いた。

経営判断の体をなしていない。港社長ら 3 名は、性暴力への理解を欠き、被害者救済の視点が乏しかった。経営リスクの高い案件についての重要な意思決定が、編成ラインの 3 名のみ、編成の視点のみ、被害者と同じ女性が関与しない同質性の高い壮年男性のみで行われたことに驚きを禁じ得ない

 2025 年 1 月 10 日 港社長の社員に対するメッセージ

フジテレビは社員を守る温かい会社でありたい。社長として全力で皆さんを守ります

昨年より我が社は外部の弁護士を入れて事実確認の調査をしており、さらに進めていきます。

@社員を守るという行動意識は一切なかった・弁護士は調査には加わっていない+相談はしていたが 事案御内容を求められていたが 提示していない

P90  1/17 1 回目の記者会見に対する世論の批判は厳しいものであった。

*テレビカメラ等・記者クラブ外の取材者=拒否・クローズド会見:被害者に謝罪なし:人権侵害の疑い 中居氏番組継続

*港社長「調査委員会に委ねる」を繰り返した:第三者委員会を選択しなかった

@テレビ局の案件 会見なのに テレビカメラなし 他のテレビ局はオブザーバー=質問権無し 記者クラブからは オープンな形で開催お願い しかし、定例記者会見を押し切られた 定例記者会見としたのは 上記 拒否・クローズド とするためだったと推測されてもやむを得ない

@プライバシー保護を大義名分としているが 人権を守るための行動は何一つされていなかった

>結果として、社会からの大きな批判を招くとともにスポンサー離れを加速させた。このような事実からみれば、第 1 回記者会見が失敗に終わった事実は明らかである。

1/18 竹内弁護士(第三者委員設立時委員長)と 面談 社会的批判が高まった状況でも 外部専門家を入れた社内調査を行うという認識だった 竹内弁護士からは第三者委員会 方式の提案

1/20 記者会見対応チーム 湊社長面談  17日の記者会見に対する評価は否定的であり 社員の不満が爆発している 下記提案

①対策組織の確立、②港社長による社員への説明会実施、③第三者委員会事務局の選出、等を行うこと

3)FMH による 第三者委員会 設置決定及び湊社長 退任

記者会見対応チームでは記者会見同月 27 日に開催し、登壇者は嘉納会長と港社長。しかし、その後港社長の指示により、同月 30 日に延期するとの案に変更

1/23 記者会見を 1 月 30 日に行うとの港社長の決定に対し、記者会見対応チームから「そんなに待てない」との反発の声が上がった。和賀井監査役から嘉納氏、港社長らを説得し「23 日の臨時取締役会で第三者委員会の設置を決議し、27 日に再度臨時取締役会を開催して新体制の話も盛り込むこと、及び 27 日 16 時から記者会見を行うこと」が決定

1/23 FMH 及び CX は臨時取締役会を開催 第三者委員会設置決定

1/23 社員説明会開催 145 人から 217 問の事前質問。約 400 名が会場で参加し、約 700 名がウェブから参加した。撮影禁止・SNS 投稿禁止、質疑応答も質問は会場からのみとの制限が付された。

社員からの質問に嘉納会長・港社長が適切に回答できない場面が多く、不信感が募っていった。別室で見ていた遠藤副会長は、27 日の記者会見を嘉納会長及び港社長の 2 人に任せておくことはできないと考え、その場で金光社長に電話して、27 日の記者会見には金光社長・遠藤副会長も登壇する方向となった。

1/24 労働組合は、23 日の社員説明会でも回答が不十分であった点を踏まえて、意見書提出

P 94:1/27  港社長及び嘉納会長が辞任 FMH 専務取締役の清水氏社長(代表取締役)就任 

P97:2025 年 1 月 17 日の会見後、1 月 17 日から 1 月 31 日までで合計 330 社のスポンサーが CM を AC に差し替えた。

 なお、2024 年 12 月から 2025 年 1 月 16 日までの AC 差し替えは、2024 年 12 月 27 日にあった 1 社のみ

視聴者からも多くの批判的な意見が寄せられた

国内外で企業による人権尊重の取組みへの要請が高まっているにもかかわらず、CX において人権侵害の疑いがあることや CX の事後対応を問題視しており、その実態を明らかにし、ガバナンス体制を強化するなど必要な再発防止策を講じることを求めている。

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